なぜコミュニケーション力が必要なのか?
看護師として働くにあたって必要なスキルとは何でしょうか。「迅速に対処できる技術と知識」を真っ先に思い浮かべる人も多いことでしょう。確かにそのような基本スキルも必要ですが、「患者の話をしっかり聞く」「意思の疎通がきちんとできる」などのコミュニケーション力も看護師に欠かせない、重要なスキルです。
事故を未然に防ぐ
看護師は人と接する仕事です。適切に意思の疎通を図れるように日頃からコミュニケーションを意識しておかなければなりませんが、患者との会話が苦手という人は意外にたくさんいます。しかし、医療事故などの不測の事態を未然に防ぐためには必要不可欠なものです。連絡の行き違いや報告の遅れ、といったコミュニケーションの不備が原因となる場合もあります。そのような事態を防ぐために患者と積極的にコミュニケーションをとっていく必要があるのです。
「コミュニケーション」といっても看護師に必要なコミュニケーション力は、接客業で必要なものとはタイプが違います。看護師が対応する相手は患者です。誰しもが病気やケガに対してさまざまな不安を抱いています。病気そのものに対して、治療内容に対して、家族や仕事に対して、など抱えている不安は人によって違いますが、患者自身で解決できるものには限りがあります。看護師はそれらをしっかりと理解したうえでコミュニケーションをとっていかなければならないのです。看護師のコミュニケーションの基本は、患者が安心して治療に専念できるように配慮することです。
患者の言葉に耳を傾ける
不安を抱いている患者に接する時は、「言葉を受け止めている」という姿勢を患者に伝わるようにすることがポイントです。まずは患者の言葉に耳を傾け、患者の持つどのような気持ちもすべて受け止めるようにしましょう。
例えば、病気に対して不安を抱えている患者から「自分の病気は治らないのでは」と問われたとします。その際、安心させるために「心配ありませんよ」と答える看護師も多いことでしょう。しかし、病気に詳しい看護師からの「心配ない」との言葉に安心して不安が軽減する人がいる反面、もっと具体的な回答を望む人も少なくありません。「心配ない」と一言で伝えるのではなく、「今不安に感じているのは何ですか」と具体的に、何に対して不安を感じているのか問い返してみましょう。問い返すことで心の中にある不安を理解しようとする姿勢が伝わるため、患者も安心感を得られるはずです。オウム返しのようになってしまう場合もありますが、相手の言葉を繰り返すことで「共感」していることが患者に伝わるため、信頼感も得られます。